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ちょっといいモノ語り

福島県大玉村

生キャラメルの「おいしい」を作ったのは
真摯で真面目な社員と行動派・社長の情熱でした

株式会社向山製作所大玉ベース

木々が紅葉し、秋が深まると、芳醇な味わいのスイーツを食べたくなりませんか? 今回、ご紹介するのは、口溶け滑らかな生キャラメルで知られる向山製作所。みなさんの中にも、そのおいしさに惹かれ、すでにファンという方も多いのではないでしょうか。製造業として創業した向山製作所が生キャラメル作りにチャレンジしたのは今から約12年前のこと。今ではスイーツの種類も増え、ショップには多くのお客さまが訪れています。いくつもの試練を乗り越え、今もチャレンジしつづける向山製作所の「いいモノ語り」を取材しました。

株式会社向山製作所大玉ベース

向山製作所は、県内では福島市に1店舗、郡山市に3店舗、そして、今回ご紹介する大玉村に大玉ベース1店舗を展開。県外では、仙台市に1店舗、京都市に1店舗あります。
福島県大玉村大山字新田8-1
TEL.0243-24-7297
http://www.mukaiyama-ss.co.jp/caramel/

創業の地に観光スポットとしても注目のショップ&カフェ

取材でお邪魔したのは、平成30(2018)年にオープンした向山製作所大玉ベースです。福島県大玉村は向山製作所創業の地で、現在も有機ELパネルなどを製造する工場があり、業界屈指の技術力を誇っています。
工場から車で数分の場所にある大玉ベースは、初の郊外型店舗。広々とした店内には、生キャラメルはじめ、和テイストを活かした生バターサンド、レアとベイクドの両方を楽しめるチーズケーキ「キャラメルドゥーブルフロマージュ」など、どれにしようか選ぶのに迷ってしまいそうな品々が勢ぞろいしています。

落ち着いたブラウンカラーの店内。週末には遠方のお客さまも多く訪れる観光スポットにもなっています。

焼きたてパンを選んでのんびりランチはいかが?

スイーツの人気もさることながら、大玉ベースでリピーターの多いのが、生地から手作りされる種類豊富なパンです。店内にはカフェスペースもあり、焼きたてのパンを飲み物と一緒にゆっくり味わうこともできます。取材中も次々にお客さまが来店され、メロンパンやクロワッサン、食パンなどできたてのパンが棚に並ぶと同時に売れていきます。
また、店内には本格的な石窯もあり、パンと同じく生地から手作りするピッツアは、パンケーキと並ぶ、カフェの人気メニューのひとつになっています。

「下請け」から基盤となる「自社製品」づくりへ

「向山製作所を創業したのは平成2(1990)年、私が25歳の時でした。自宅の物置を改装したスペースで社員5名とともに電子部品を製造していました」と話すのは社長の織田金也さんです。徐々に仕事も社員も増え、軌道に乗り始めた頃、バブル経済が崩壊し、一転して仕事が激減します。仕事集めに奔走する織田社長を支えたのは、会社を見捨てることなく、「ここで働きたい」と言ってくれた多くの女性社員でした。
「下請けの悲哀といいますか、電子部品は短期間でどんどん進化します。そこに対応していくのはとても難しい。自社製品を開発し、自立できる基盤を造らなくてはと考えるようになりました」と織田社長。自身が料理好きだったということ、女性社員が多かったこともあり、新規事業として注目したのが食品でした。頭の中だけでシミュレーションするだけなら簡単ですが、織田社長は根っからの行動派。社長業を続けながら、スキルを身につけるため調理学校に通い資格を取得。現場を知らなくてはと、ホテルの厨房に掛け合い、無償で働き始めます。

「日本の老舗は食品に関連する企業が多いですね。100年後も今と同じ手作りで愛される生キャラメルをみなさんにお届けできたら嬉しいですね」と織田社長。

スタートメンバーは100分の2人

「その時は、携帯電話の普及で本業が忙しくなり、実際にフード事業部を立ち上げたのは平成20(2008)年です。当時、東京の百貨店に地方のスイーツがたくさん出店し、長蛇の列を作っているのを見て、スイーツにはこんなに人を惹きつける付加価値があるのか、と思い、これを新規事業にしようと思いつきました」と織田社長。早速、100人の社員に希望者を募るものの、手を上げてくれたのはわずか2人でした。その時の一人が、今も フード事業部チーフマネージャーとして活躍する伊東真知子さんです。

「大変な時期もありましたが、これからも初心を忘れずに、自分たちが本当においしいと思える商品を作っていきたいです」と伊東さん。

社員の後ろ姿に誓った想い

数あるスイーツの中でキャラメルを選んだのはチョコレートなどと比べ競合が少なく、本格的な厨房がなくても作れるという理由でした。
「今は大玉ベースに専門工房がありますが、最初は電子部品工場の給湯室を改良した小さな空間が研究室、兼調理室でした。スイーツ作りのプロがいないので、材料調達から調理まで毎日が手探り状態でした」と伊東さん。朝から晩まで、銅鍋で材料を丁寧に煮詰めていく作業はかなりの重労働。夏は暑さとの戦いだったといいます。こうした努力が実り、それまでにない口溶けなめらかで、濃厚な味わいが楽しめる向山製作所の生キャラメルが誕生。評判は徐々に広がり、大手航空会社の機内食に採用されるまでになります。
そんな矢先、あの東日本大震災が起こります。東京電力の原子力発電事故の影響による風評被害が大きく、出荷先が激減します。
「商品には自信がありましたので、東京の百貨店や高速道路のサービスエリアなどに出店しましたが、売れないんです。でも、汗だくになりながら文句もいわず、キャラメルを作る伊東たちの姿を思い出すと『売れませんでした』と言えない。最後の1つまで売らなければと強く思いましたね」と織田社長。

想いが引き寄せた賞賛と次への自信

社員たちの真摯な姿と自慢の味わいが行動派の織田社長に閃きとパワーを与えます。
「日本で売れないのなら、スイーツの本場パリで勝負しよう!あの『サロン・デュ・ショコラ』に出展しよう!」その時点ではまったくツテがありませんでしたが、「一念岩をも通す」で、織田社長はあらゆる人脈をたどり、その思いを訴え続けた結果、人と人の出会いが縁を生み、見事出展を果たします。現地では向山製作所ならではの味が有名パティシエや市民の心を掴み、それが認められ、翌年から3年続けて招待されました。
パリでの経験をさらなる自信に変え、立ち止まることなく、新商品の開発に取り組んでいます。織田社長たちが、フード事業立ち上げ当初からこだわっているのは、地元・福島県産品食材とのコラボレーションです。生キャラメルに地元産の「えごま」や「山塩」を取り入れているのもそうした取り組みのひとつ。今年新しく誕生した「ふくしまの力」シリーズでは、県内の醤油メーカーやトマト農家とコラボレーションした焼き菓子が発売され、人気を集めています。
これからも行動派の織田社長と丁寧な仕事ぶりが光る伊東さんたちがどんなスイーツを生み出すのか向山製作所から目が話せませんね。

ワンダーファーム(福島県いわき市)とコラボした「ふくしまの力」第2弾の「トマトバジル薫るラング・ド・シャ」。
濃厚なキャラメルをたっぷり合わせたポップコーン。塩キャラメルとブラックペッパーや海苔の組み合わせは新感覚で美味!
レアチーズ×ベイクドチーズが2層になったチーズケーキ。間にサンドされているのはキャラメールソース。
サブレ生地で挟んでいるのは、フレッシュバターと白あんを合わせた「和テイストクリーム」。クルミや抹茶など6種の味があります。

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