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東北・新潟の「うま味三昧」

雪室でうま味

東北・新潟には多雪地帯が数多くあり、除雪など雪への対策が大きな課題となっています。一方で、古くから伝わる食物の保存に雪を活かしてきた地域もあります。上越市安塚区では、公益財団法人雪だるま財団が中心となって、先人の知恵である「雪室」の価値を科学的に分析し、現代的なシステムを採り入れ、地域を元気にする新しい「雪室推進プロジェクト」に取り組んでいます。

手雪と生きる、雪を活かす

教えてくれたのは

公益財団法人雪だるま財団
副理事長・伊藤親臣さん

名古屋市出身。室蘭工業大学大学院にて雪を活かした冷熱エネルギーを研究。卒業後、雪だるま財団へ。現在副理事長として「雪室」の普及や雪の価値を広げる様々な活動に取り組んでいる。

雪が食材をおいしくするって本当?

「昔、おばあちゃんやおじいちゃんから食材を『雪の中に入れておくとおいしくなる』という話はよく聞きました。でも科学的に本当においしくなるのかを研究したものがなかったんです。調べてみると、確かに数値としても違いがあり、おいしくなることが科学的に証明されたんです」と話すのは、公益財団法人雪だるま財団の副理事長・伊藤親臣さんです。

例えば「雪の中に食材を入れると甘くなる」と言われることがありますが、これは「低温順化」というしくみで、気温が下がると、食物は凍らないようにするため、体の中のデンプンをどんどん糖に変えていきます。また、雪の中は湿度も高く保てることから、食物から水分が抜けずに、瑞々しさを保てるのです。古くからこのしくみを活用し、冬の食材を貯蔵してきたのが「雪室」です。

天然の雪を活かしたエコな「雪室」

雪室は年間を通して「温度が0℃、湿度が90%以上」という低温高湿度の環境を保てるので、食材を凍らせることなく、おいしいまま保存できます。昔からの知恵をより効率的に活用できるよう進化させた雪室が、現在、上越市内に7カ所、市外に4カ所、県外に4カ所あり、中には夏の冷房に活用するための雪室もあります。豪雪地帯で雪は「邪魔もの」と捉えがちですが、食材貯蔵や冷房などに活用することで雪は「エネルギー」という新たな価値が生まれました。

食物の「うま味」を引き出す天然冷蔵庫

取材で訪れた時には2箇所の雪室を見せていただきましたが、米や野菜、日本酒、お茶など様々な食物が貯蔵されていました。では、それぞれにどんな効果があるのでしょう。

  • 雪が空気フィルターの役目を果たし、空気中の汚れを吸収してくれるので、古米にありがちな不快臭がなくなり、粘りや弾力のある食味、おいしい状態が保たれます。

  • 野菜

    凍らないようにデンプンを糖に変える低温順化によってじゃがいもなどは甘くなります。冷蔵庫に入れた時も糖化しますが、雪室は温度の変動が少ないため長く糖化が進みます。低温高湿度に保て、乾燥を抑えるので、水分が多い大根は「す」が入ることがなく、瑞々しく、甘みも感じ、梨のような食感だとか。ニンジンは糖化する他に、えぐみや雑味、青臭さが減少するそうです。

  • 肉類

    雪室の室温は約0℃をキープし、食物を凍らせません。だから冷凍肉を解凍する際に出るドリップが出ないので、肉のうま味が失われません。

  • 日本酒・お茶・味噌など

    発酵食品は、低温環境にすることで酵母がゆっくり活動し、時間をかけて熟成するので、まろやかな味わいになります。日本酒やコーヒー、お茶などは熟成時に出る不快臭も抑えられるので、香りの良さが保たれます。

冷房への活用やシードバンクへの活用も

雪だるま財団が関わっている雪室は、食物を貯蔵する目的のほか、地元の小・中学校で雪冷房システムとして活用されているものもあり、他の自治体や企業でも注目しているところは多いそうです。

最近は、雪室で園芸用の種も雪中貯蔵すると高い発芽率になることがわかりました。様々な植物を種の状態で長期間保存できるようになれば、『シードバンク(種の銀行)』の役割を担うことができます。将来、不安視されている食糧危機の対策になるかもしれないのです。

「ハンディキャップだった雪をエンジンにして経済活動が活発になれば、地域の人たちがより豊かに暮らせます。そのためにも雪を上手に使える、世界が注目するような田舎を目指します」と語る伊藤さん。雪を上手に利用することは、食物の「うま味」を引き出すだけでなく、地域の魅力を引き出す大きなチカラもあるのですね。

  • 公益財団法人雪だるま財団
  • 新潟県上越市安塚区安塚722-3
  • TEl.025-592-3988
  • https://yukimuro.jp

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