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抗酸化作用の強いリコピンが豊富なトマトは、肌を若々しく保つ、女性に嬉しい食材。
産地は、日照時間が長く、暖かい地域をイメージしがちですが、冬の気温が低く、日射量も少ない宮城県栗原市でも「サンアグリしわひめ」の大型栽培施設ではたくさんのトマトが作られています。
ここで、おいしいトマト作りに一役買っているのが地下水熱利用のヒートポンプシステムなのです。
「サンアグリしわひめ」の栽培面積は東京ドーム1.5個分の約2万㎡。取材に訪れたのは気温がグッと下がり始めた晩秋でしたが、広々としたハウスの中はポカポカの小春日和。3mほどの高さに伸びたトマトの株にはたくさんの実がなっていて、陽の光を浴びたトマトの実や茎の産毛が金色にキラキラと輝いていました。
「『桃太郎』という品種を中心に、栗駒山のきれいな地下水を利用した養液栽培※に取り組んでいます。みなさんに安心して、トマト本来の味を楽しんでいただくために、受粉にもマルハナバチを使った自然交配を採用。安全でおいしいトマト作りを心がけています」と代表取締役・三浦和栄さん。ここで栽培されるトマトは「サンひめっこ」のブランドで宮城県のスーパーマーケットなどで広く販売されているそうです。果肉が厚く、酸味が少ない「サンひめっこ」は、食べやすくジューシー。子どもたちにも大人気です。
※土を使わずに、肥料を水に溶かした液(培養液)によって作物を育てる栽培方法。
「サンアグリしわひめ」は、2001年水田の転作と地元の雇用拡大を目的に、栗っこ農業協同組合のバックアップで設立されました。
現在、「サンアグリしわひめ」では約30名のスタッフが働いており、約47,000株に実る赤く熟したトマトをテキパキ収穫していきます。収穫されたトマトは大きさごとに選別し、箱詰めされ夕方には出荷されます。最近は、黄色やピンク、オレンジなど彩り豊かで皮の柔らかいミニトマトも栽培しています。
宮城県にお住まいの方は、ぜひお店で「サンひめっこ」トマトを探してみてくださいね。
「この地域は、冬の外気温が−5℃以下。時には−10℃を下回ることもあるそうです。
「一番の課題は冬場の燃料費でした。以前は重油ボイラーを使って、ハウス内の温度を上げていましたが、燃油が高騰することもあり、大きな負担になっていました。そこで、5年ほど前、冬でも16℃前後と安定した温度を保つ地下水を利用した地下水熱利用ヒートポンプシステムを導入しました」と三浦和栄さん。
また、ボイラーと違ってヒートポンプシステムは燃焼を伴わないので、二酸化炭素の排出がなく、ハウス内外の空気もクリーンに保つことができます。温度や日射量、炭素ガス濃度などもコンピューターで管理できることから作業効率もグンとアップしました。